最近USCPAの塾講師でもしているのかな?というような記事ばかりを執筆していた中の人ですが、たまには自分の本業であるB to B業界のメーカー営業の話について説明していきたいと思います。B to B業界は正直学生には完全に閉ざされている世界です。なぜなら大人の人達がお酒を飲みながらほとんどの出来事を決定しているからです。
しかしながらB to B業界でも商社・大手メーカー等は最近知られるようになってきていることでしょう。また、就職人気ランキングを圧巻している経営コンサルの業界も顧客が大手事業会社となるので完全にB to Bとなります。本日は全く会社についての理解がない方でもわかるようにBtoB業界のメーカー営業についての説明をしていきたいと思います!
そもそもBtoB業界って!?
B to B業界とはBusiness to Businessの略となっており、対消費者に直接販売しているというよりも対法人相手にビジネスを行っているような業界のことを指します。
想像しやすい業界で言えば、素材メーカー・部品メーカー・産業機械メーカー等が挙げられます。例えば素材メーカー大手:三菱ケミカル、部品メーカー大手:デンソー、産業機械:ファナック等があるかと思いますが、皆さんは上述したようなメーカーから製品を購入することはあるでしょうか?
ないですよね!?!?なぜならこれらのメーカーは商社等を通して別の企業に製品を販売しており、個人相手に販売を行っていないからです。つまり
”消費者として直接購入することがないような製品を作っているメーカー”
というのがB to Bのメーカーとなります。三菱ケミカルは成型品メーカー、デンソーは完成車メーカー、ファナックは完成車メーカー・プラント業界と取引を行っているので、我々消費者にはいまいち何をしているかがわからないのです。
一方でB to C業界についてですが、自分たちが消費者として目にすることができるような業界のことを指しています。例えば、化粧品業界:資生堂、完成車業界:トヨタ自動車、小売り業界:イオン・スターバックス、電機業界:Panasonic・Sony・任天堂等を思い浮かべればわかるのではないでしょうか。
B to B業界の営業について
通常の営業というと、証券会社営業のような「電話をかけまくれ!!!」「いきなりお家訪問してこい!!!」みたいなイメージがあるかと思いますが、B to B業界の営業においてはそういったことは一切ありません。
なぜなら営業マンは会社の代表の存在であり、いきなりお家訪問などしたらマナー違反も甚だしく商談に入る前に嫌われてしまうでしょう( ;∀;)
では実際にB to Bメーカーの営業マンは何をしているのか下記見ていきましょう!!!
ルーティーン営業
Forecast最新情報管理
企業は通常日頃から商売取引がある会社を多く抱えています。そこで、正確な生産計画等を組むために営業マンが最新の数字情報のupdateを行うのです。
例えば、顧客によっては季節によって需要の増減があったり、スポット案件受注による需要の増減があります。そこで、最新の情報をUpdateし続けるということが重要業務の一つとなります。「予算」といわれるのは基本的に1年前に営業マンが建てた数字となり、それを達成できるかが評価のポイントとなります。
(正直なところ、若手のうちは引継ぎ等で顧客が増えていくので予算自体が自分の立てていない数値となるので、横並びの評価になりがちです。)
クレーム対応
営業マンというと「クレーム対応」のイメージがあるのではないでしょうか。メーカーの場合品質不良、ユーザーが使用中に起こったトラブル等で営業担当に対してクレームが入ります。
もちろん「なぜクレームが起こってしまったのか」原因を究明する一方で、顧客への謝罪・保証内容についての確認等することは色々とあります。また、基本的に仕様書等によってどこまで保証するかということを定めていますが、営業上判断によって多めの保証を行ったり保証をしないことを決定することがあります。
原因究明及び再発防止のための施策等は技術陣に依頼する一方で、保証等に関する内容はCSRやPLQAといったような部署と協業しながら決定していくということが一般的です。
与信管理
ビジネスを継続的にやり取りしている多くの顧客は掛け金によってビジネスを行っています。掛け金とは簡単に言うと「ツケ払い」みたいなものですが、通常この「ツケ払い」には限度を決めています。限度に関しては担保の多さや企業の規模に即したものが多いです。
A社:Core30に入るような上場企業
B社:従業員10人程度の家族経営の企業
上記のケースだとどちらが良いと一概に言えるものではないですが、財務の健全性・透明性等を兼ね備えているA社の方が信用があると考えられます。この場合A社に対しては1億円までの与信を許可するのに対して、B社は500万円までしか許可しないといったような感じで与信が定められます。
与信限度を超えて取引が起こってしまうような場合は顧客と相談して、「取引額を下げて次月に売り上げを回す」「与信限度を引き上げる」というような対策をとります。
価格交渉
顧客の大きさ、売り手・買い手の交渉力の強さ等価格交渉においては色々なファクターがあるのですが通常の問い合わせとしてはこんな感じで価格交渉が来る顧客が多いです。
- 数量の拡大が見込めるからVolume discountをしてくれ
- 入札案件の獲得のためにこの数量だけDiscountしてほしい!
- 業績悪化でどうしても原価低減したいからDiscountしてほしい!
全ての問い合わせを受けていたらお話にならないので、話を受けた中で実際に受けるかどうかというのを精査したうえでP/Lのインパクト、業界での価格の妥当性等をチェックしたうえで協力するかどうかを決定します。
新規製品提案
これは新規営業のところに含めてもよいかと考えたのですが、ルーティーン業務の一環として行われがちかと思うのでここに記載してみます。
自社内で開発した新しい製品をPotentialがありそうな既存顧客へ提案するというケースです。既に自社製品を使用してもらっている顧客への展開なので、一から製品等についての説明をする必要がなく成功確率が高いです。
提案して、興味があればサンプル購入→本生産というように進みます。ただ、BtoBの場合は例え製品が良かったとしても採用まで非常に長い時間がかかることがあるので、本生産になる時には自分がすでに担当でないということが良くあります(笑)
顧客との付き合い
上得意顧客との付き合いとして飲み会・ゴルフ等は日常茶飯事です。これが女性営業は中々いないという理由の一つでしょう。上場企業との付き合いではコンプライアンスが厳しくなったため、かなり減少していますが営業担当としても数字の出る顧客は贔屓にするので色々な手を打って繋ぎとめようとします。
新規営業(マーケティング活動)
B to Bのメーカー営業は新規営業活動も行います。ただ、B to Bは基本的に参入障壁ガチガチなので(産業資材系は)新規の開拓には非常に時間がかかることが多いです。特に車業界や航空機業界といったような業界に関してはスペックインまで実際2年以上かかるということもザラです。
そのため営業担当が担当している間に実際成果が出ないようなこともよくあります。しかしながら、既存顧客のサポートだけを行っていても業績が伸びることはそうそうないのでこういった新規開拓というのは重要な活動の一つとなるのです!
新規顧客リサーチ及び開拓
現存の顧客、製品から考えて今後注力していきたい業界やアプローチしたい会社を洗い出して実際にアプローチを行っていく作業です。基本的に横展開及び競合他社のシェアを取りに行くというのがメインの仕事になります。例は下記のようなイメージです。
大手の企業であれば隣の事業部が、アプローチしたい会社とコネクションがあったりするのでそういったところから担当者につなげてもらうことが可能だったりします。リサーチをしたうえで、実際にアクションをするというので将棋を打つみたいな感じで非常に面白いです。
B to Bのメーカーに関してはマーケティング部隊が存在しないことが多く、営業がそのままマーケティングを行いがちなのでマーケティングをしたい人間には割と良いかもしれません。
また、新規営業でも下記のような4種類に分類することができますが基本的にやることは変わりません。相手のニーズに合った製品を供給するという基本に忠実に行うことが重要です。
新規製品 | 既存製品 | |
新規顧客 | ド新規領域 | 横展開新規営業 |
既存顧客 | 通常の顧客サポートの一貫 | ルートビジネス |
まとめ
B to B業界の営業は実際に営業活動をするという機会は少ないです。売り上げ市場主義の証券や金融と比較すると、予算管理的なところが仕事の大きな部分を占めていると思います。(調整業務もいいところなので、面倒臭さが半端ないです。。。www)
ただ、ゴリゴリの開拓等は基本的に求められないので、安定的に良い待遇で働きたいと考えている学生にはぴったりの職場となるのではないでしょうか!?!?ぜひ一度ご検討されることをお勧めします!ちなみにどの程度の待遇で働くことができるかという点については以前執筆したので参考にしてみてください!
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